今日のアフリカ

  • Home
  • 今日のアフリカ

今日のアフリカ

最新10件

コンゴ政府とM23がカタールで停戦協定に署名

2025/07/20/Sun

 19日、コンゴ政府とM23がカタールで停戦協定に署名した。両者は、コンゴの交渉に向けた原則に合意し、「恒久的な停戦に向けて約束を守る」と宣言した。  同宣言では、包括的和平協定に向けた公式な交渉を近々開始し、東部コンゴにおける国家権限の確立に向けたロードマップの作成を進めるとしている。この和平協定に向けた交渉は、6月末にワシントンで署名されたコンゴとルワンダの和平協定の枠組みに準拠する。両当事者は、遅くとも2025年7月29日までに宣言を実施に移し、8月8日までに直接交渉を開始する(19日付ルモンド)。  この合意については、コンゴ政府はもちろん、米国、ルワンダ、AU、EU、Monuscoなど、関係する政府、国際機関が評価している。  米国とカタールがコミットした和平プロセスが、ここまで進展したことは評価に値する。一方で、今回の署名は、交渉をスタートさせることにコンゴ政府とM23が合意したということである。チセケディ政権がM23との交渉を拒絶していたことを考えれば大きな進展だが、今後どのように合意に至るかはなお不透明と言わざるを得ない。  特に、東部コンゴに国家の権限を確立するという、戦争終結に不可欠なプロセスがどう展開するかが重要である。今年初めの攻勢で、M23は支配領域を大きく広げたが、それはコンゴ政府が求める国家権限の確立と真っ向から対立するだろう。今後の事態の展開を注視したい。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

個別ページへ

米国が南スーダン、エスワティニに「不法移民」を移送

2025/07/19/Sat

 7月15日、米国は、エスワティニ(前スワジランド)に対して、ベトナム、ラオス、イエメン、キューバ、ジャマイカの国籍保持者5人を送還した。これらの人々は、本国が引き取りを拒否した「犯罪者」だと、米国側は説明している。  これに先立つ、7月4日、トランプ政権は南スーダンに8人の「不法移民」を送致した。8人のうち南スーダン国籍は1人だけで、残りはミャンマーやキューバの国籍保持者である。  米国では6月に最高裁が、「不法移民」を強制送還する際、出身国が受け入れを拒絶した場合には「第三国」に移送することを認めた。これが南スーダンとエスワティニへの移送につながったのだが、この2ヵ国だけでなく、多くのアフリカ諸国がトランプ政権から「不法移民」の受け入れを持ちかけられている。  7月9日、セネガル、ガボン、モーリタニア、リベリア、ギニアビサウの大統領がホワイトハウスに招かれた。トランプはそれぞれの大統領と面会し、鉱物資源取引を協議したが、ここでも「不法移民」の受け入れについて打診された模様である(10日付ルモンド)。  また、ナイジェリアの外相は、国外追放処分となったベネズエラ人を受け入れるよう、米国から圧力を受けたと認めている(11日付ファイナンシャルタイムズ)。同外相は、既に様々な問題を抱えているナイジェリアにとって、そうした受け入れは困難だと述べた。  こうした動きにアフリカ側から反発の声が上がるのは当然だ。エスワティニの市民社会勢力からは、我々は米国の「ごみ箱」ではない、という批判がでている(17日付ルモンド)。  一連の動きは、トランプ政権がアフリカを必要としていることを意味している。鉱物資源や移民問題などをディールの材料として、米国はアフリカに接近している。援助を大幅に削減したトランプ政権は、アフリカとの関係を切断するのではなく、ディールに基づく別の形での関係を構築しようとしている。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

個別ページへ

ナミビアのオーケストラとおとぎ話

2025/06/30/Mon

 6月20日と21日、ナミビア国立劇場でユース?オーケストラ?フェスティバルが開催された。「音楽を通したものがたり」をテーマに、8歳から28歳までの100名を超える若い音楽家が集まった。  若い音楽家らは、ドイツ大使館が主催するベルリン交響楽団の指導を受け、指揮は著名なドイツ人指揮者クリスチャン?ルートヴィヒ氏と、気鋭のナミビア人指揮者エルソン?ヒンドゥンドゥ氏がとった。  プログラムでは、ルートヴィヒ氏が指揮する、「山の魔王の宮殿にて」、「ホーダウン(ロデオより)」など、時代を超えた名曲が並んだ。また、ヒンドゥンドゥ氏が作曲した「オチハンバレレ―ナミビアのおとぎ話」が初演された。この作品のテーマは、コミュニティ、愛、裏切り、そして許しである。  オチハンバレレとは、ヘレロ語でおとぎ話のことを指す。このおとぎ話は、親が子どもを寝かしつけるときに語ったり、家の外でおこした火を囲みながら年配者らが子どもたちに語ったりするものである。物語にはさまざまな野生動物や家畜などが登場する。講演でも野生動物にふんした子どもたちが舞台をかけめぐり、ナレーションとオーケストラの音色が混ざり合いながら、コンヴィヴィアルな空気を作り出した。  ヒンドゥンドゥ氏は、地元紙ナミビアンのインタビューでこの作品の経緯を語っている。「祖父母やオジたちと火を囲んで、オチハンバレレをたくさん聞いていたんです。[???]これらは私たちのアイデンティティと文化を思い出させてくれる貴重な思い出です」と回想し、村で過ごした幼少期からインスピレーションを得たことを語った。ナミビアの都市部ではこうした口承による物語が衰退しつつあるため、音楽を通してその美しさと文化的価値を復活させようとしたという。  「ナミビアの物語を引き出し、私たちが何者であるかを思い出させてくれるような作品を作曲したかったのです」と同紙インタビューで同氏が続けるように、この作品はユース?オーケストラの子どもたちが、自分たちで物語を書き、この作品の土台を築いたという。ヒンドゥンドゥ氏は、「子どもたちがこの作品の青写真を作ってくれたんです。彼らの想像力の豊かさに驚きました。私たちは彼らを刺激しましたが、物語は彼らのものです。この作品は彼らの想像力の上に成り立っています」と、子どもたちとの協働によって「オチハンバレレ」が出来上がったことを指摘している。そして、インタビューの最後では、「私たちが国民として団結し、手を繋げば、私たちは無敵です。観客のみなさまがナミビアに誇りを感じ、音楽を通して私たちの物語の奥深さを感じ取っていただければ幸いです」と締めくくっている。  ヒンドゥンドゥ氏は合唱指揮者で、約10年前にナミビアの青少年合唱団のソリストとして頭角をあらわし、その後ナミビアと南アフリカで専門的な音楽の訓練を受けた。以来、合唱、吹奏楽、弦楽四重奏、交響楽団、そして現在は舞台のための作品を作曲している。2023年には、ナミビア人作曲者として初のオペラ作品「ヒヤングア首長」を作曲し、ナミビアとドイツの首都で公演し、盛況のうちに終わっている。ドイツ語とヘレロ語でうたわれたこのオペラは、首長の息子を主人公に、恋愛、実存的危機、植民者との出会い、キリスト教への改宗と裏切り、虐殺のテーマを扱ったチャレンジングな作品である。  近年のジェノサイド交渉をめぐる国内での対立や、ナミビア国内のドイツ系入植者とジェノサイド被害者の子孫らが分断している現状を考えると、音楽を通してナミビアを一つにしようとするヒンドゥンドゥ氏の作品は、暗たんとする状況のなかの新たな光のようである。(宮本佳和)  クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

個別ページへ

ナミビアの男性のメンタルヘルスと高い自殺率

2025/06/30/Mon

 ナミビア保健社会サービス省のルヴィンダオ大臣は、5月のメンタルヘルス啓発月間を記念して6月11日に首都で開催されたシンポジウムで講演をおこなった。講演では、メンタルヘルスをめぐる政策の遅延と高い自殺率について懸念が示された。  ナミビアにおけるメンタルヘルスの問題は、特に若者のあいだでうつ病、不安障害、自殺が増加しており、最も差し迫った公衆衛生上の課題の一つとなっている。世界保健機関(WHO)によると、ナミビアの自殺率は現在、世界で11位、アフリカで4位である。2023~2024(2023/24)年度には、10万297人のメンタルヘルス疾患患者と542件の自殺が報告された。  ナミビア警察が発表したデータによると、2023/24年度に自殺した542人のうち82%が男性だった。地域別では、北中部の自殺者数が多く、全国平均は人口10万人あたり17.9人だった。一方、自殺未遂件数は、2018年の1,655件から2023年には2,332件に増加した。2023/24年度の自殺者数は前年(2022/23年度)と比較して19%増加し、2019年から2024年にかけては自殺未遂件数が53%増加した。こうした深刻化する危機に対応するため、保健社会サービス省は、主要な関係者と連携し、実用的かつ協調的な解決策を見出すために、多分野にわたるアプローチを強化している。しかし、依然としてインフラ整備および法改正が遅れていることを大臣は講演で強調した。  国営放送や地元紙では、こうした状況を反映して、自殺者数の大半を占める男性のメンタルヘルスに関する特集が頻繁に組まれている。地元紙ナミビアンの特集において男性の自殺者が多い要因としてあげられているのは、社会経済的要因、文化的およびジェンダー規範、メンタルヘルス支援の不足の3点である。ジェンダー規範において男性は家族を養うことが期待されており、失業や貧困などでこの期待に応えることができない場合、孤立感や男性らしさの喪失感を抱き、助けを求めることへの抵抗感と相まって危機的状況をもたらしているという。  ナミビアでは初の女性大統領が今年3月に誕生し、新内閣を構成する14名の大臣のうち9名が女性である(「今日のアフリカ」、2025年3月26日)。2002年には党の指導的地位に男女半々の代表者を置く方針を決定し、政策や支援においても男女平等や女性へのエンパワメントに力を入れている。しかし、その背後では、こうした男性のメンタルヘルス危機の問題が静かにすすんでいる現状があることは見逃してはならないだろう。(宮本佳和)  クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

個別ページへ

コンゴ民主共和国とルワンダ、米国主導の和平協定締結

2025/06/28/Sat

 27日、ルワンダとコンゴの外相が、米国の首都ワシントンでルビオ国務長官を間に挟んで着席し、和平協定に調印した。トランプ大統領は、30年にわたるコンゴ東部の戦争を終わらせる素晴らしい協定だ、と成果を強調した。  和平協定の内容は明快だ。両国の領土的一体性はともに守られ、敵対行為はただちに停止される。コンゴはルワンダのフトゥ系武装勢力FDLRを「中立化」(つまり解体)し、ルワンダはコンゴから撤兵してM23への支援を止める。武装勢力は武装解除、動員解除して、コンゴ国軍や警察に統合する、という内容である。  こうした約束はこれまでも繰り返しなされてきた。4000人コンゴ領内にいるというルワンダ軍の撤兵を誰の監視の下でどのように進めるのか、コンゴ国軍が実効的にFDLRを「中立化」できるのか、それ以外の武装勢力をどう扱うのか、などなど、和平協定の実効性に関する疑問は尽きない。  トランプ政権は、そのあたりを気にしていない。コンゴとの間で鉱物資源開発に関する「ディール」を結び、米国企業が投資することで和平が担保されると考えている。  この文脈で、ゴマに近いルバヤ(Rubaya)鉱山に関する「ディール」が報じられている(28日付ファイナンシャルタイムズ)。ルバヤ鉱山は、コンゴのコルタン生産の半分を占めるといわれる巨大埋蔵地だが、その開発をめぐる交渉を行っているコンソーシアムに、トランプ大統領に近いジェントリー?ビーチ(Gentry Beach)氏がトップを務める投資会社America First Globalが含まれているという。関係者は、紛争鉱物問題の代名詞とも言えるこの鉱山を、地域の繁栄の中心地に変えると意気込んでいる。  ルバヤ鉱山は、紛争のなかで様々な武装勢力が支配下に置き、コルタンの密輸によって巨額の富を得てきたところである。今年の初め以来、M23が支配下に置いている。この鉱山で採掘されるコルタンを合法的にルワンダに運び、同国内に精錬所を建設して付加価値を高めて世界市場に輸出するという構想のようだ(28日付FT)。  これは、ルワンダ優位の現状をそのまま永続化させることを意味する。それをコンゴ側(政府およびローカルコミュニティ)が受け入れるだろうか?事はそう簡単でないと考えざるを得ない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

個別ページへ

ナミビア、初の「ジェノサイド追悼の日」を迎える

2025/05/31/Sat

 28日、ナミビアは、ドイツ植民地期に虐殺された推定7万5千人の犠牲者を追悼する、初の「ジェノサイド追悼の日」を迎えた。この日は今年から国民の祝日となり、首都ウィントフックの国会議事堂前の庭園で追悼式典がとりおこなわれた。  ナミビアにおけるジェノサイドとは、1904年から1908年にかけてドイツ軍が先住民のヘレロとナマの人びとを組織的に絶滅させようとしたことを指す。当時のヘレロの約8割(約6万5千人)、ナマの約半数(約1万人)が亡くなったとされる。この出来事は、ホロコーストに先立つ20世紀最初のジェノサイドとして知られる。  ドイツは2021年にこれらの残虐行為を「ジェノサイド」として正式に認め、ナミビアに対し30年間にわたり11億ユーロを開発資金として支払うことに同意した。しかしこの資金提供は「和解」の意思表示であり、補償や賠償ではないと述べた。その後、被害者の子孫らなどからの反発を受け、ナミビア政府はジェノサイドに対するさらなる資金と正式な賠償を求め交渉を続けてきた。昨年12月には、この交渉が終了することが宣言され、再交渉後の資金額などが提示されたが、被害者の子孫らなどからさらなる批判を受けていた。(「今日のアフリカ」、2021年5月29日、2021年6月10日、2024年12月31日、2025年1月31日、2025年3月26日)  当時ドイツ領だった南西アフリカ(現在のナミビア)には、複数の強制収容所が建設され、人びとは拷問され、殺害された。5月28日が追悼の日に選ばれたのは、この日が、ドイツが強制収容所の閉鎖命令を最終的に決定した日だったためである。この日は、2016年に野党の南西アフリカ国民連合(SWANU)の党首であり国会議員だったウストゥアイエ?マアンベルア氏が提出した動議に関する協議の結果、選ばれ決定された。  28日の追悼式典には、野党の人民民主運動(PDM)の党首、ナミビア駐在ドイツ大使、ヘレロとナマの首長らや子孫らなどを含む約千人が出席した。ナミビアの大統領ネトゥンボ?ナンディ=ンダイトゥア氏は演説において、マアンベルア氏をはじめヘレロの政治家らが尽力し、この日を迎えることができたことを強調した。とくに、2006年にジェノサイドに関する動議を国会に初めて提出した、最高首長でもあった故クアイマ?リルアコ氏、ナミビアの初代特使でありドイツ政府との交渉を主導してきた故ゼデキア?ンガビルエ氏の功績について触れている。  しかし、すべての被害者の子孫らがこの追悼の日を認めているわけではない。ヘレロとナマの首長らの一部は、ジェノサイドを直接経験していないオヴァンボらが多くを占める与党の南西アフリカ人民機構(SWAPO)が主導する国家間交渉を批判し、追悼の日についても別の日にするよう求めていた。そのため、追悼式典への出席をボイコットすることを表明していた。  大統領はこうした意見の相違についても演説で触れており、「団結すべき時に、不要な分裂を引き起こすべきではありません。[???]私たちはドイツの植民地支配と(南アフリカによる)アパルトヘイト占領下で異なる歴史を経験してきました。しかし、1990年3月(の独立)以来、私たちは平和、安定、団結の基盤となる共有されたナミビアの歴史を有していることを強調しなければなりません」と述べている。  混乱をきわめるジェノサイド交渉がどのような結末を迎えるのか、課題は山積みだが、これまでナミビア国内においても無視され続けてきたドイツ植民地期のジェノサイドについて、国家として追悼する日を迎えたことは、今後の展開において新たな幕開けとなることはたしかであろう。(宮本佳和)  クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

個別ページへ

ナミビアのジェンダーに基づく暴力への抗議運動

2025/05/31/Sat

 ナミビアでは今年に入り3名の少女が続けて殺害された事件を受けて、ジェンダーに基づく暴力(GBV)への抗議運動が活発におこなわれている。  オチョゾンデュパ州の都市オカハンジャでは、今年3月末から4月末にかけて立て続けに少女3名が行方不明になり殺害された。3月20日には5歳の少女の遺体が橋の下で発見され、4月25日には通う学校の近くで6歳の少女の遺体が発見された。翌日26日には15歳の少女の遺体が郊外の地区で発見された。いずれの少女もレイプされていた。犯人は見つかっておらず、警察は逮捕につながる情報提供者には、12万ナミビア?ドルの報奨金を支払うことを発表している。  この事件を受け、4月末には女性と子どもの安全を求め、GBVへの抗議活動が各地でおこなわれた。少女らの遺体が見つかったオカハンジャでは、住民だけでなく、教育省の副大臣ディノ?バロティ氏、南西アフリカ人民機構(SWAPO)のフェニー?トゥチャヴィ氏、土地なし人民運動(LPM)のウタアラ?モオトゥ氏も参加した。政府関係者らは抗議活動参加者と連帯し、少女たちを守るための緊急の行動を求めた。バロティ氏は、省を代表して嘆願書を受け取った。同市の高校でも、生徒たちが児童保護法の強化を求め街頭で抗議をおこなった。西部カバンゴ州でも、教育省の呼びかけを受け、西部カバンゴ州議会と共同で学生らが児童暴力に反対する大規模なデモ行進をおこなった。  5月11日には、大統領のネトゥンボ?ナンディ=ンダイトゥア氏が、オハングウェナ州で開催された文化祭での演説において、伝統的指導者らに女性と子どもへの暴力とたたかうために政府と協力するように呼びかけている。  5月23日には、若者らが直面するさまざまな課題について話し合い、対処するための活動団体「#BeeFree」運動が、首都ウィントフックでGBVを減らすためのキャンペーンをおこなった。  ナミビアの国連事務所も声明を出しており、その中で、少女に対する暴力は容認できず、法の力で対処しなければならないと述べている。  ナミビア警察の統計によると、2024年1月1日から6月30日の間に、666件のレイプ事件が報告された。オシコト州で最も多く、次いでオムサティ州が続いた。オチョゾンデュパ州では、事件のあった同時期に50件が報告されている。  一方、少女らの殺害の理由について、犯人らが呪医に少女らの身体の一部を売るために殺害したのではないかとささやかれているが、真相は明らかではない。(宮本佳和)  クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました。引き続き、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

個別ページへ

AGOAの今後

2025/05/25/Sun

 今年9月に更新時期を迎えるAGOA(アフリカ成長機会法)については、トランプ政権の下で、そのまま延長されることはないだろうという見方が一般的である。21日付ルモンド紙は、米国国務省の担当官フィトレル(Troy Fitrell)の発言を紹介している。そこからトランプ政権の考え方がうかがえる。  フィトレルは次のように述べている。  「もしAGOAが更新されるなら、それは近代世界の取引を反映したものになる」「もっと相互性が明確に反映されたものになる」「私がAGOAの更新のために何をするか尋ねる人がいたら、私はこう尋ねる。あなたは何をしたか?」  フィトレルはまた、「多くのアフリカ諸国が米国との自由貿易協定の可能性を打診している。これはワシントンにとっても好ましいことだ」と述べている。  以上から見えてくるのは、米国が一方的に関税を免除することはせず、米国が関税を免除するなら、アフリカ側も関税を免除すべきだという考え方だ。USAIDの解体が示すように、トランプ政権は、米国が他国に奉仕するような関係性を拒否し、必ず目に見える見返りを要求する。 この行動には、そうする余裕がないという経済的理由だけでなく、相手が誰であれ一方的な優遇措置は与えないという思想的な理由も大きいと思われる。AGOAだけでなく、開発援助そのものを否定する論理である。私たちの前に、どのような世界が広がっているのだろうか?(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。  

個別ページへ

コンゴ東部からルワンダへの帰還作戦

2025/05/24/Sat

 コンゴ民主共和国東部から、大量のルワンダ人が本国に移送されている。21日付ルモンド紙によれば、5月10日以来、ルワンダ政府は大規模な帰還作戦を行い、その数は2000人を超えた。このオペレーションは、UNHCRと反政府武装勢力のAFC/M23とが協力して行い、ルワンダ政府が支援している。  M23は、コンゴ東部に「不法に滞在しているルワンダ人」を本国に帰還させていると主張している。帰還の対象になっているのは、コンゴ東部で活動するルワンダの反政府武装勢力FLDR関係者と目された人々で、フトゥ人である。FDLRの源流は、1994年にルワンダ内戦で敗れた旧ハビャリマナ政権支持者で、ジェノサイドに加担した人々も含まれる。  AFC/M23は、人々が自発的にルワンダに戻っていると主張する。帰還に際して、同意書に署名しているようだ。しかし、UNHCRの地域スポークスマンは、「帰還は完全に自発的というわけではない」と認めている。  この帰還作戦は、ルワンダ政府の明確な意図に基づくとみられる。同政府は、機会あるごとに、コンゴ東部における「FDLRの脅威」を強調してきた。M23がゴマ、ブカヴをはじめとする東部を支配したタイミングで、FDLRの弱体化を狙って、関係があると見られる人々を送還しているのであろう。UNHCR職員は、「帰還のスピード、ルワンダのトランジットセンターに運ばれるやり方」に懸念を示したと報じられているが(21日付ルモンド)、帰還した人々はイデオロギー教育の対象となる。  この帰還作戦もまた、東部コンゴの勢力図が塗りかわり、M23、AFC、そしてルワンダ政府の影響力が支配的になったことを示している。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

個別ページへ

コンゴ東部紛争のブルンジへの影響

2025/05/23/Fri

 コンゴ東部紛争において、ブルンジはコンゴ政府側に立ってM23などの反政府武装勢力と戦った。今年1月以降、M23がゴマ、ブカヴなど東部の主要都市を制圧し、支配的な立場を維持している。M23とAFC(コンゴ川同盟)そしてそれを支持するルワンダが東部コンゴで勢力圏を確立し、コンゴ政府とブルンジを含む同盟勢力は戦闘に敗れた状態にある。  3月以降、和平をめぐる動きがあった。3月18日に、コンゴのチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領がカタールで直接対話し、4月25日には米国のワシントンで両国外相が会談した。5月5日には、米国のブロス大湖地域特使が、両国から和平協定原案を受け取ったと発表した。ルワンダの外相は、6月にカガメ、チセケディの間で和平協定が署名されるとの見通しを示している(5月6日付ルモンド)。  和平プロセスが進展したように見えるが、M23とルワンダ側が、東部コンゴに勢力圏を確立した状況は変わっていない。  こうしたなかで、5月19日付ルモンド紙は、この紛争がブルンジに与えた影響について報じている。この記事によれば、コンゴ紛争が、ブルンジの政治体制をいっそう独裁的、抑圧的に変えているという。  ブルンジはもともと、2021年初めにコンゴに派兵した。この時は、コンゴ東部で活動するブルンジの反政府武装勢力Red-Tabaraの掃討作戦実施を理由としていた。二国間軍事協定が結ばれたが、2023年8月になって両国は、この協定をM23との戦闘に対応するよう拡大した。しかし、この情報は一般に公開されなかった。  昨年来の戦闘で、コンゴ東部では多数のブルンジ兵が戦死している。コンゴに送られたブルンジ兵の大部分は新兵で、3ヶ月程度の訓練後に装備も不十分なまま前線に送られた。ゴマがM23の手に落ちる前、2024年12月のングング(Ngungu)の戦いでは、数百人のブルンジ兵が戦死したという。  ブルンジ政府は、こうした状況について一切公表していない。同国内では埋葬が続いているが、家族にも知らされず、こっそりと行われているという。  コンゴ紛争の激化は、ブルンジの人権状況に影響を与えている。ブルンジ市民社会の報告書は、コンゴ紛争が反体制派や市民社会の監視、抑圧、逮捕の口実として使われている、と述べている。多くのブルンジ兵が戦死したとWhatsAppに投稿した者や、M23に好意的な書き込みをした者が国内で逮捕されているという。  ここ数年、ブルンジとルワンダの関係は非常に悪化しており、国境も封鎖されたままである。両国は互いに、相手国が反政府武装勢力を支援しているとの非難を繰り返し、ブルンジによるコンゴ紛争への介入の背景になっている。  カタールや米国でコンゴとルワンダの首脳や外相が会談し、和平が進展したかのような印象を与えているが、このまますんなり和平プロセスが進展するとは到底思えない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

個別ページへ